今回は、先日ご紹介した「音声配信 Advent Calendar 2021」の1日目です。
ポッドキャストや stand.fm、Radiotalkなど、音声配信について何か書いていきましょうというアドベントカレンダーですが、今回は「ポッドキャストと独立系サービス」の違いについて、リスナーと配信者の視点から改めてご紹介したいと思います。
ポッドキャストは分かりにくい?
日曜日にClubhouseで開催したタウンホールミーティングでも話題に出しましたが、ポッドキャストを聴こうと思ったけど、どのアプリで聴けばいいか分からない。配信したいけど、機材などの準備が大変だと思ってた。そんな話がありました。
stand.fm、Radiotalkなどの独立系サービスと呼ばれる配信者からも、ポッドキャストは難しそうという意見を聞いたことがあります。
ポッドキャストは突き詰めると難しいこともできてしまいますが、独立系サービスと比べて特別に難しいわけでもありません。簡単に始めてもいいし、とことんこだわって追求することもできる、自由度の高さが特徴でもあります。
釣り堀に行って道具も借りて楽しんでもいいし、船舶や魚群探知機までも用意して沖に繰り出してもいい。どちらも魚釣りには変わりません。どこまで踏み込むかは自分次第。その自由度の高さが分かりにくく感じるところかもしれません。
どのアプリで聴けばいいの
はじめてポッドキャストを聴いてみようと思ったとき、どうやって聴けばいいか分からない。どのアプリで聴いても良いという意味が分からない。そんな意見も聞きました。なるほど。どれで聴いても良いのですが、なぜなのでしょう。
みなさん、このニュースレターの記事は何で読んでいますか?パソコンですか、スマートフォンですか?
パソコンはMacかWindowsか、ブラウザはSafari、Google Chrome、FireFox、Microsoft Edge、Internet Explorer?スマホのSafari、Google Chrome?
あるいはマニアックなブラウザを使っていたり、メールソフトで見ているよ、いろんな人が居ると思います。
これが、Microsoft Edgeでしか読めない記事や、Safariでしか読めない記事だったらどうでしょう。stand.fmやvoicyなどの独立系のアプリではそのようなものです。
Radiotalkの場合は、独立系アプリでもありながらポッドキャスト配信もするという感じなので、推奨はこちらですが、どのブラウザでも聴けますよというハイブリッド版。逆にRadiotalkアプリでポッドキャスト配信されている番組は聴けません。やはり壁はありますね。
ホームページは、「http」という決まりで作成したら、「ブラウザ」というソフトであれば見ることができますよというもので、国際機関でそのルールが決められています。
ポッドキャストも国際的なルールで決められていて、そのルールに沿っていれば、どのポッドキャスト用アプリでも聴けるというものです。
国際ルールとは別に独自ルールで作ったアプリが独立系サービスになります。Radiotalkは配信は国際ルールでも配信できるけど、聴くのは対応しない。という感じです。
ところがポッドキャストでも国際的なルールをベースにしながら独自の機能を備えたものも増えてきています。ポッドキャスト番組によっては、Spotifyでしか聴けないなどの限定的なものもあったりします。
では一体、どのアプリで聴けば良いのでしょうか?
もし、聴きたい番組があるのであれば、その番組の推奨アプリを調べましょう。
サイトやSNSなどで案内されているのではないかと思います。聴きたい番組がなければ、どのようなアプリでも構いませんが、代表的なのは次のようなもの。
Apple Podcasts
Spotify
Google Podcasts
Amazon Music
この中から使いやすいものを選んでみてはいかがでしょうか。
レベル別の配信方法
配信方法の自由度も高いのがポッドキャスト。自由度が高すぎるので、ポッドキャスト配信者によって収録・編集・配信の方法はまちまちです。
この日本ポッドキャスト協会のニュースレターでも「楽屋裏シリーズ」として配信者に配信方法をインタビューしている記事があるのでご参考までに。
stand.fmでの配信の場合、配信方法はレベル別に下記のようになると思います。
スマホアプリで録音、アプリ内で簡単に編集して配信
マイクとオーディオインターフェースを購入してスマホに接続して
録音、編集、配信別途、収録や編集して音声ファイルを作成し、stand.fmアプリにアップロードして配信
3番の「音声ファイルの作成」、この部分の方法はまちまち。パソコンにマイクを接続して編集ソフトに録音することもあれば、レコーダーに録音して転送することもある。ビデオ会議ツールで録音するなんてこともある。
では、ポッドキャストはどうでしょう。3番目しかできないイメージがあるかもしれません。ところが、stand.fmと変わらないのです。
AnchorというアプリやRadiotalk、海外のものも含めるとSpreakerやSoundCloudなどで1番の方法が可能です。もちろん、そのまま2番に移行もできます。
3番については、「音声ファイルの作成」がバリエーションが多いのは同じですが、それに加えて配信元がstand.fmに限定されません。どこから配信するかという選択肢が増えます。
ポッドキャストは、Anchorなどで配信も可能ですし、Seesaaブログというサービスも利用者が多いもの。自分でサーバーを借りて、WordPressなどのシステムをインストールして配信するといった船を買うような方法も選べます。
ただ、これらの違いがよく分からないという場合、今であればAnchorがオススメかもしれません。stand.fmやRadiotalkなどと近い感覚で、サーバー容量なども気にせずに無料で始められます。stand.fmやRadiotalkとの機能的な違いは、ライブ配信機能がないくらいですが、Greenroomという別アプリでライブ配信もできます。ただ、最大のネックは日本語化が十分ではないことくらいです。
そこさえ目をつむれば、Anchorで配信した場合も、Anchorをインストールしてくれないと聴けない、ということはなく、Apple PodcastsやSpotify、Google Podcasts、Amazon Musicなど、リスナーは自分の好きな、使いやすいアプリで聴くことができるのです。
ポッドキャストと独立系サービスの違い
ポッドキャストと独立系サービスは、リスナーにとってはどこで聴けるのか、という違いはありますが、どちらも音声配信としての中身は変わりません。作り込みの差はあれど、どちらでも同じようなことができます。
独立系サービスでは、音声をアップロードできなかったり収録時間に制限があるものもあるので、その点は注意ですが、ポッドキャストでも配信元によっては、容量制限などがあります。ただ、どちらかというと制限がなく、音質も選べるなどの自由度が高いのがポッドキャストです。
独立系サービスは試聴する環境や機能に制限がありますが、もちろんメリットもあります。
端末が限られ、国際的なルールに沿わなくても良いので、独自の機能を追加したり、課金などの仕組みが作りやすいメリットがあるのです。ライブ配信などの機能も取り込みやすいのが独立系サービスです。
ポッドキャストも一部機能を限定して課金の仕組みを取り入れ出しています。Appleが始め、Spotifyも米国ではサブスクリプション課金をスタート。今後、ポッドキャストか独立系サービスかの違いは無くなっていくのかもしれません。現状ではオープンで間口が広いポッドキャストと、限定的だけど独自機能がある独立系サービスというような関係です。
ちなみに、ここのニュースレターサービス「Substack」もポッドキャスト機能があります。ポッドキャストなので、Apple PodcastsやGoogle Podcastsで聴くことができます。配信者が登録申請しなければいけませんが、登録済みであれば、SpotifyやAmazon Musicにも配信できます。
(Spotifyはプレーヤーを記事に貼ることができます)
リスナーとしては、いろいろなサービスを試して自分に合ったアプリを見つけましょう。私は聴きたい番組によって複数のアプリを利用しています。
配信者としては、自分が配信したい番組のイメージや配信先、使ってみたい機能などに合わせてどこから配信するかを決めると良いでしょう。
さて、今回は「音声配信 Advent Calendar 2021」の1日目として記事を書きました。みなさんもアドベントカレンダーに参加して、音声配信にまつわる記事を書きませんか?記事ではなく、ポッドキャストのエピソードでも良いですし、TwitterやFacebookなどの投稿でも良いそうです。気軽に参加しても良いかもしれませんよ。